2010年5月31日月曜日

コトバ

道化師の就寝

余儀なくカモフラージュ

踏み込まれた他人を

自分の奥に導かぬように


震えて震えて

凍えてうずくまる自分を

見透かされぬように


そして出来上がった道化師は

この世界に溶け込むことは決してない

弱さは時として世界を結ぶ鍵となり

強さは時として世界を拒絶する壁となる

鍵を持たない道化師は

今日も星を眺め眠るのでした

2010年5月30日日曜日

コトバ

およそ15分の劇情

暖かな色を放ち夜道を照らす水銀灯

わいてでた虫が瞬間瞬間に光の中に現れる

昼間の賑やかさが嘘のような小学校わきの道を下り

線路沿いの道に出る

しばらくすれば線路越しに貨物業者の工場が見えてくる

人類の発明器具をふんだんに使って

時間という概念に逆らいながら煌々と灯りを点しながら働く人々

そして僕は線路を渡り

パン屋の横の交差点を渡る

徒歩5分の不動産屋のちらしに騙されたために

生み出されたこの15分の劇情は

毎日違う脚本家が結末を書き換える

2010年5月29日土曜日

コトバ

健やかなる眠りを

あなたと共に生きている

あなたを感じて生きている

あなたに恥じぬよう生きている

だから安心して天から見守っていて下さい

どうか健やかなる眠りを

2010年5月27日木曜日

コトバ 写真

紫陽花が雨で奏でる春への別れ

紫陽花が雨で奏でる春への別れ

そんな季節の話


窓に写るは雨に打たれるオープンテラス

規則正しく並べられた白いテーブルと椅子に混じって

紫陽花は雨でより一層妖艶さを増していた


久しぶりの再会は

そんな都内某所のカフェだった

奥から三番目の窓際の席

昔と同じように君と向かいあう

君はオレンジピールの入ったダージリン

僕はキャラメルマキアート

限りなく表層の部分は少しも変わっていない


平日の午後3時

客足の途絶えた店内には

マスターが暇潰しに捲る新聞の音が

不規則なリズムで響いていた

君は何も語らない

僕も何も語らない



二人に降り注ぐ時間は

音もなく最後の一幕を閉じていく

言葉を奏でる隙も与えられてくれなかった




それでも雨で花を揺らし

可憐に咲き誇るは紫陽花




紫陽花が雨で奏でる春への別れ

あんなに可憐に咲きながら

あんなに可憐に咲きながら

2010年5月27日木曜日

コトバ

オマージュ

きっと僕らは誰かのオマージュ

オリジナルなんてものは

限りない天才にしか与えられないだ

だから今思い付いたアイデアも

今口づさんだ緩やかな旋律も

今不規則に置かれた絵筆の紋様も

これまでの貴重な出逢いで

作り出された誰かのオマージュ

だけど君は悲観的でない呼吸すればいいんだ

オマージュされた世界の中心軸で

2010年5月27日木曜日

コトバ

ゴールドチェイン

今日は降り注ぐ雨もゴールド

アスファルトに叩かれできた飛沫もゴールド

ビニール傘にこびりついた水滴もゴールド

素敵さは加減を知らず

僕を中心に地球は回った

そうか世界はこんなに素敵だったんだ

繋がれ素敵なゴールドチェイン

2010年5月27日木曜日

コトバ

アングリ

君はヒステリックにアングリー

僕はどうにもできず口をアングリ

2010年5月24日月曜日

コトバ

リバーシブル

君はいくつものリバーシブル

器用に着こなしてしまうから

表がどれだかわからない

だけど僕は知ってるんだ

裏生地に隠された

縺れた糸の行く末を

2010年5月24日月曜日

コトバ

我輩。

コーヒーの匂いがかすめたから

朝だと気付くのにそう時間はかからなかった

朝はゆっくりしたいから、って

必要以上に早く目覚める君

根拠のない低血圧を理由に

これまでの人生を生きてきた僕には信じられない光景だ


朝を独り占めしたかのように

その時間を楽しんでいるのかと思いきや

今日も泣いた涙の後が傷のように残ってる



まだ泣いているの?

もう充分じゃない?



いつも以上にいつもを演じる君

僕はつらくてその顔を見てられないから

そっと君の横に座って

一緒にテレビに映るニュースキャスターを眺めるんだ

そうしているうちに

君はいつのまにか化粧も着替えも終わっていて

僕は君を見送りにいつもどおり玄関へ


君は決まって僕を三回撫でてから玄関をでる

僕は素直に受け入れる



僕は人間の言葉はわかるけど

自分では喋ることができないから

おとなしく見送るしかできない

けどいつでも君の帰りを待ってるからね

どんな時も君の帰りを待ってるからね

だから安心して、いってらっしゃい


僕は君の心のペット

いつでも君を見守るペット

2010年5月23日日曜日

コトバ 写真

アンドロメダ

僕が生きるこの銀河と

仮想の僕が生きるアンドロメダ

現実世界で星が星を呼び銀河を作り上げるように

僕のアンドロメダももう随分と大きくなった

いつかひとつの銀河へと結びつく日はくるのだろうか

2010年5月16日日曜日

コトバ

記憶の香り

記憶が香った

甘酸っぱくて

ちょっと苦い香り

2010年5月10日月曜日

コトバ

運命と未来と犯罪と平和と現実

運命とは束縛の種類

未来とは空想の種類

現実に持ち込んだところで無意味

解き放つことは犯罪

埋もれることが平和

現実という秩序はそうして保たれる

2010年5月10日月曜日

コトバ

誰が作ったかわからない詩

誰が作ったかわからない詩が

語り継がれるように

どんな戯れ言を並べたって

結果がすべてなんだ

結果よりも大切なものを語る者が現れたのなら

まずは疑って間違いないだろう

それは疑いようのない結果

2010年5月7日金曜日

コトバ

キヅ

傷つけながら生き延びていることに

気付きながら生き延びて

2010年5月6日木曜日

コトバ

一秒も無駄にしたくない

そう思う気持ちが

結果的に命を削っていったんだ

床に滲むは

ポタッと落ちた最後の雫

2010年5月6日木曜日

コトバ

ヘドロ

お前はヘドロのような人間だな

と言われた

ドブの中で犇めいてろ

と言われた

だとしたら

いつか地球を滅ぼせますけど

なにか?

2010年5月6日木曜日

コトバ

オンオフのある人

エンジンを切った

そしてただの塊になった

それを羨ましいなんて

これっぽっちも思わないのだけど

2010年5月6日木曜日

コトバ

活字主人公

活字が蠢くこの世界で

主人公として生きるこの人物は

あと何ページで終末を迎えるのか

知っているのだろうか

そして刻んでいく台詞が

永遠のものとして残っていくことを

知っているのだろうか

2010年5月6日木曜日

コトバ

最後の秒針

さよならに似たありがとう

微かに揺れた最後の秒針

2010年5月4日火曜日

コトバ

ただいま

ただいま

そう言える幸せと

おかえりと返してくれる幸せ

2010年5月1日土曜日

コトバ

鯉のぼり

屋根より高い鯉のぼり

深くて青い空の海を

何処までも登り続けてね


君のように止まない心で

僕も頑張るから