コトバ

請うようにたかる蝿

自分の羽根の騒音に気付いていない

集ったのが枯れた花だって気付かない

危険の代償に得たものは完全なる無駄

コトバ 写真

隠すように

笑い声に混ぜた

冷たい泣き声

コトバ

逃避

逃げたっていいじゃない

君は帰ってこなくちゃいけないことが十分わかった上で

逃げてるんだから

コトバ

よわよわ

やっぱりちがった

たぶんちがった

そうねがう

コトバ

この秋という季節が

一番、色が溢れる季節

枯れゆく木々が、花々が

最後の命の灯で

世の中を染めていく季節

コトバ

メス

この社会へ法則性を見出だそうとした場合

物理現象に法則性を見出だすのとわけがちがうから

確率論的に測って、その確からしさから

ある程度の普遍化しかできないんだと思う

とはいえ政治でなく科学のメスを入れることは

社会を構造化する上で

やはり意義があると思う

コトバ 写真

ビスケット

大事にポケットに入れていたのに

粉々になっていたビスケット

コトバ 写真

責任

責任は感じるもんじゃない

コトバ

きっと答えをもとめてなんかなくて

ただただ衝動にかられて言葉を発する

そんな問いがここにはある

コトバ

踏切

踏切で遮られる前

何気なく交わした会話

踏切で遮られた後

同じ会話なのにすべてが不安定

カンカンカン

バーを下げたのは僕

カンカンカン

すべては僕の世界の話

コトバ 写真

必要

形がすべてではなくとも

言葉がすべてではなくとも

あのとき、あの瞬間

確かに必要だった

コトバ 写真

雪の笑顔


天気予報では今日は雪だって

やけに寒い風が吹き抜ける

ちらちらと粉雪が空を舞いはじめて

僕等の深い傷に染み込んだ


吐いた息が白く前を霞め

一瞬君の顔が薄れていく

冷えきって震えてる君のその細い肩を

温めるのはもう僕じゃない


夢見た理想と現実を近づけることに夢中になりすぎて

忙しい毎日の中で恋愛は影を潜めていった

気付くと君の笑顔は他の誰かのもの



だから僕を忘れて

頬に伝わる涙とめて

僕はこれ以上君の優しい笑顔に傷をつけたくないから


この降りしきる雪が君のマフラーを白く染める

そして雪化粧した君は静かに僕にそっと呟いた

ごめんね、と




いつの間にか雪は姿を消し雲が月から逃げてった


二人に残された希望の光

それは別れることだけで

さよならの言葉雪に混ぜて僕らは互いに歩きだした

二人が歩む足跡には歯痒さが埋もれていた



僕は君を忘れない

例え君が僕を忘れても

雪は明日にもすぐに溶けてしまうだろう

君もそこにはもういない


君が最後に見せた涙に濡れた雪の笑顔

別れの時までずっと君は優しく

僕にそっと呟いた

ありがと、と




時計の針が止まる頃に

今を振り返れるのなら

僕は疑わずに言えるだろう

確かに幸せだったと




だから僕を忘れて

頬に伝わる涙とめて

僕はこれ以上君の優しい笑顔に傷をつけたくないから


この降りしきる雪が君のマフラーを白く染める

そして雪化粧した君は静かに僕にそっと呟いた

ごめんね、と

コトバ

サラリサラリ

時は流れて幾星霜

今宵は満月

かくも輪郭は明確なのに

水面にうつるは焼け爛れた朧月

ドウシテボクヲウツセナイノ?

ドウシテアナタニウツラナイノ?

コトバ

コートの裏生地

ミセカケだけの優しさが評価される厳しい冬に

カンシャもされずに暖かさをもたらしたのは

ソンザイカンのないやつの仕業

コトバ

可憐

カラカラに渇いた喉が痛い

でも微笑みは顔に濡らす

ここはオアシス

楽園の一歩手前

けれど確実に楽園に続いていない