コトバ

さよなら

他人を批判することで

自我によく似たものを手に入れてきた

他人を模倣することで

自我によく似たものを手に入れてきた

そして気付いた時にはもう自分には自我のかけらもなかった

人を繋ぐにも他人を批判し同情を誘うだけ

自我がないから他人を借りないと人さえ繋げない


発する言葉も意味をなさない

自分でも解読できない

最初から意味を有していないのだから


いずれ嘘は見抜かれる

嘘は嘘でしかないから人は自分から去っていく

去る人をどうあがいても引き止めることはできない

だって自我のない人の言葉は意味をなさないのだから

脱け殻がこの世を流浪する

脱け殻を否定するためにまた自我によく似たものを手に入れる

ある種の中毒のようにひとときの安堵と満足を手に入れる

それがこれまでの人生の手口


薄々は感じていたんだ

でもその事実を肯定したくなかったんだ

今までのすべての自分を否定してしまうことになりそうだから


だけど

嘘が見抜かれた今

肯定せざるをえない


どうしてこうなったのだろうか

きっと他人の目を気にして

他人から嫌われるのが怖くて

本来の自我を消した

他人に取り繕うように

世界がうまくまわるように

自我のない空白が占拠する脱け殻が形成されていった


いつしか世界は偽りに満ち

脱け殻である自分が生きる環境が整いすぎた


今の自分が破綻したからといって

今さら自我を取り戻せばいいというわけでもないだろう

そんな勇気もないと言った方がいいのかもしれない

この世界のすべてが壊れる可能性があるからだ


自我がすべての世界はきっと成立しないと思う

すくなからず脱け殻である部分がないと世界は成立しないと思う

きっと脱け殻である嘘の自分の方が楽で

それに甘んじすぎたのがすべての原因だ



明日も脱け殻がこの世界を流浪するだろう

しかし偽りの世界にはもうこりごりだ

だから嘘を真実にする

今の脱け殻を自我にする

今まで築いてきた虚構も

真実に変えてしまえばいい

脱け殻とは表面があって中身がない状態だ

逆に言えば表面はすでにそこに在るんだ


本来ならば核がありそれが枝分かれして表面を形成するのだろう

でも今は違う

違うならそれでいい

その逆をすればいいだけの話だ


これが悩みぬいた自分が辿りついた答え