コトバ

彼が物語るここ一週間の行動

夢中に悩む

そういう選択

コトバ

忘れ物

ちゃんと消えていない煙草の灰

仄かに残る君の香水

全部、君の忘れ物

コトバ

コンビニ

コンビニで君と二人で買ったチョコレートを見つけると

嬉しそうにはしゃいでいる君の笑顔が浮かぶんだ

コトバ

ジュブレシャンベルタの2001年もの

正常な異常

現実という幻覚

壊れた夢の残骸の上を歩くと

骨が軋む音がした

コトバ

プラスチック

黒に白いストライプの入ったスーツに

赤いネクタイをして

二つの小さな穴をあけた紙袋を頭にかぶった男

革製の黒い手袋をして

椿の枝をさした透明な硝子の花瓶を持ち

草原の中で立っていた

鳥と風の会話を邪魔しないように

身動きせずに立っていた

コトバ

スコール

雷の轟音とともに突然の雨

濡れた黒髪

滴る雫

そしてどうするか考えた

手遅れじゃない

コトバ

ミヒャエル・エルビーネの午後の憂鬱

隠す

そして

食べる

本音の取り扱い説明書

コトバ

タンバリン

タンバリンを叩く

するとリズムが生まれる

ただそれだけ

君が思う

すると人と繋がる

ただそれだけ

コトバ

忘却への招待

せめてもの救いは

忘却へといざなう

この忙しさ

コトバ

着飾るということ

真っ白なワンピース

裾は炎で焦げていた

コトバ

理性

まるで生き物のように

脳の中を駆け回る

ひどく冷たい理性

コトバ

うるさいんだよ

身の内に潜む抑えきれぬ衝動

うるさいんだよ

少しの間、黙っていてくれ

コトバ

午前1:30の真実

絶対はない

あるとすれば歪みだ

コトバ

指揮者

多くの観客を背負って

繊細な旋律を奏でた

これが自分だ

楽譜の上に載った単なる音符じゃない

これが自分だ

コトバ

コインとウルトラマリン

ずっとにぎりしめていた2枚のコイン

ウルトラマリンを溶かした海を目がけて

思い切り、思い切り投げてみた

それは数学の教科書にのっていた放物線の形を描いて宙を舞い

小さな音をたてて、沈んでいった

もう見つかることはないから

ゆっくりおやすみ

コトバ

スニーカーの泥

嫌いにならないで

そこにそうやってたたずんでいるのも

目をそらさずにちゃんと見つめて

そのスニーカーについた泥は

道をはずしてない証拠なのだから

コトバ

愚痴

知って欲しいが

そっと飲み込む

コトバ

緑茶

緑色に濁るその液体は

今日一日分の時間の蓄積を削除した