コトバ 写真

紫陽花が雨で奏でる春への別れ

紫陽花が雨で奏でる春への別れ

そんな季節の話


窓に写るは雨に打たれるオープンテラス

規則正しく並べられた白いテーブルと椅子に混じって

紫陽花は雨でより一層妖艶さを増していた


久しぶりの再会は

そんな都内某所のカフェだった

奥から三番目の窓際の席

昔と同じように君と向かいあう

君はオレンジピールの入ったダージリン

僕はキャラメルマキアート

限りなく表層の部分は少しも変わっていない


平日の午後3時

客足の途絶えた店内には

マスターが暇潰しに捲る新聞の音が

不規則なリズムで響いていた

君は何も語らない

僕も何も語らない



二人に降り注ぐ時間は

音もなく最後の一幕を閉じていく

言葉を奏でる隙も与えられてくれなかった




それでも雨で花を揺らし

可憐に咲き誇るは紫陽花




紫陽花が雨で奏でる春への別れ

あんなに可憐に咲きながら

あんなに可憐に咲きながら

コトバ

オマージュ

きっと僕らは誰かのオマージュ

オリジナルなんてものは

限りない天才にしか与えられないだ

だから今思い付いたアイデアも

今口づさんだ緩やかな旋律も

今不規則に置かれた絵筆の紋様も

これまでの貴重な出逢いで

作り出された誰かのオマージュ

だけど君は悲観的でない呼吸すればいいんだ

オマージュされた世界の中心軸で

コトバ

ゴールドチェイン

今日は降り注ぐ雨もゴールド

アスファルトに叩かれできた飛沫もゴールド

ビニール傘にこびりついた水滴もゴールド

素敵さは加減を知らず

僕を中心に地球は回った

そうか世界はこんなに素敵だったんだ

繋がれ素敵なゴールドチェイン

コトバ

アングリ

君はヒステリックにアングリー

僕はどうにもできず口をアングリ