コトバ

リバーシブル

君はいくつものリバーシブル

器用に着こなしてしまうから

表がどれだかわからない

だけど僕は知ってるんだ

裏生地に隠された

縺れた糸の行く末を

コトバ

我輩。

コーヒーの匂いがかすめたから

朝だと気付くのにそう時間はかからなかった

朝はゆっくりしたいから、って

必要以上に早く目覚める君

根拠のない低血圧を理由に

これまでの人生を生きてきた僕には信じられない光景だ


朝を独り占めしたかのように

その時間を楽しんでいるのかと思いきや

今日も泣いた涙の後が傷のように残ってる



まだ泣いているの?

もう充分じゃない?



いつも以上にいつもを演じる君

僕はつらくてその顔を見てられないから

そっと君の横に座って

一緒にテレビに映るニュースキャスターを眺めるんだ

そうしているうちに

君はいつのまにか化粧も着替えも終わっていて

僕は君を見送りにいつもどおり玄関へ


君は決まって僕を三回撫でてから玄関をでる

僕は素直に受け入れる



僕は人間の言葉はわかるけど

自分では喋ることができないから

おとなしく見送るしかできない

けどいつでも君の帰りを待ってるからね

どんな時も君の帰りを待ってるからね

だから安心して、いってらっしゃい


僕は君の心のペット

いつでも君を見守るペット