紫陽花が雨に打たれて夏を呼ぶ

2005年7月7日木曜日

コトバ 写真

紫陽花が雨に打たれて夏を呼ぶ

そんな季節の話


夕食を食べ終えた二人は

ソファーに深々と座り寄り添っていた


いつも威勢がいい君を

冗談で攻立てた

笑いながら笑いながら

君のリアクションを楽しんでいたのに

でも君は途中で諦めて

ごめんなさいと謝った


今度は君を楽しませようと

冗談でわかりきった嘘をつく

君は嘘を信じたふりして

笑いながら笑いながら

君との会話を楽しんでいたけど

途中でそんな自分に疲れてしまい

嘘で笑わせることをやめた


二人が作った空気の間を

虚しく流れるテレビのニュース

今日も子供が人を殺めたらしい


食卓にはデザートで出された赤い西瓜

一口も食べられずに残されていた

あと一時間後には

生ゴミの袋へ捨てられているだろう


お風呂からあがってくると

君はすでに眠りにおちていた

少しの笑顔もない顔で

君は夢の何処かを彷徨っていた


カーテンを閉めて

冷蔵庫に入っていた

野菜ジュースを飲んで

そしてこの前 処方された

精神安定剤を飲んで

君のとなりに静かに横たわる



二人に降り注ぐ時間は

せっかく作った砂のお城を

無表情に壊す雨のように

残酷に二人を裂いていく


でもそんな雨に打たれても

可憐に咲き誇るは紫陽花


紫陽花が雨に打たれて夏を呼ぶ

あんなに可憐に咲きながら

あんなに可憐に咲きながら