コトバ

日曜午後三時の憂鬱

飲み終えた缶コーヒーの捨て場所もわからず

左手に持ちながらつり革を握る

強すぎる冷房が脳天から直撃し

右を見れば部活帰りの高校生がゲラゲラ笑う

優先席にはおよそ優先しなくてもいい輩が陣どり

前に座る中高年の男性は競馬新聞のアダルト紙面を見つめてる


耳に流れるは威風堂々

窓には群青色に染まる夏の空

次に着くまでに

できたらこの世の美しさをもう少し教えて下さい

そんな日曜午後三時の憂鬱

コトバ

廻り道

廻り道をして

迷子になりました

コトバ

チョコレート

最後のひとつ

チョコレート

君のためにとっておこう

コトバ

深海夢現

変わらぬ夢に溺れさせて

息継ぎもなく沈ませて

光も音も遮って


望むは深海

願うは深海

コトバ

夕焼けベランダ

小さなベランダには

スコールのような夕立の残骸として

無数の水滴が落ちていました

そして夕陽という今日最後の光を纏って

華やかに華やかに着飾るのでした


もう大丈夫


湿った空気に混ぜた言葉は

いつか虹を架けるために

水色とオレンジの中間色のあの空へ

気付かれないように飛んでいきました

そんな夕焼けベランダの一幕

素敵な明日のための一幕