コトバ

ゲマインシャフト

じっと、そしてじっと

そこに立つ木々は

そよ風に揺れても暴風雨に倒れることはない

あなたはおよそ不死の世界で

いったい今何を考えているのですか?

コトバ

ゲゼルシャフト

固く、そして固く

決意されたその意志は

鉄のような強さとともに

鉄に触れた時のあの苦い冷たさもあって

人工的な血の味がした

コトバ

梅雨

季節と季節のぎこちない隙間を

潤滑油のように埋める雨

水溜まりには波紋が無数に広がって

無音に限りなく近い音を奏でる

昨日も雨

明日も雨

暖かで静寂な雨が永遠に似た世界を作り出す

コトバ

道化師の就寝

余儀なくカモフラージュ

踏み込まれた他人を

自分の奥に導かぬように


震えて震えて

凍えてうずくまる自分を

見透かされぬように


そして出来上がった道化師は

この世界に溶け込むことは決してない

弱さは時として世界を結ぶ鍵となり

強さは時として世界を拒絶する壁となる

鍵を持たない道化師は

今日も星を眺め眠るのでした

コトバ

およそ15分の劇情

暖かな色を放ち夜道を照らす水銀灯

わいてでた虫が瞬間瞬間に光の中に現れる

昼間の賑やかさが嘘のような小学校わきの道を下り

線路沿いの道に出る

しばらくすれば線路越しに貨物業者の工場が見えてくる

人類の発明器具をふんだんに使って

時間という概念に逆らいながら煌々と灯りを点しながら働く人々

そして僕は線路を渡り

パン屋の横の交差点を渡る

徒歩5分の不動産屋のちらしに騙されたために

生み出されたこの15分の劇情は

毎日違う脚本家が結末を書き換える