コトバ

夕焼けベランダ

小さなベランダには

スコールのような夕立の残骸として

無数の水滴が落ちていました

そして夕陽という今日最後の光を纏って

華やかに華やかに着飾るのでした


もう大丈夫


湿った空気に混ぜた言葉は

いつか虹を架けるために

水色とオレンジの中間色のあの空へ

気付かれないように飛んでいきました

そんな夕焼けベランダの一幕

素敵な明日のための一幕

コトバ

ゲマインシャフト

じっと、そしてじっと

そこに立つ木々は

そよ風に揺れても暴風雨に倒れることはない

あなたはおよそ不死の世界で

いったい今何を考えているのですか?

コトバ

ゲゼルシャフト

固く、そして固く

決意されたその意志は

鉄のような強さとともに

鉄に触れた時のあの苦い冷たさもあって

人工的な血の味がした

コトバ

梅雨

季節と季節のぎこちない隙間を

潤滑油のように埋める雨

水溜まりには波紋が無数に広がって

無音に限りなく近い音を奏でる

昨日も雨

明日も雨

暖かで静寂な雨が永遠に似た世界を作り出す

コトバ

道化師の就寝

余儀なくカモフラージュ

踏み込まれた他人を

自分の奥に導かぬように


震えて震えて

凍えてうずくまる自分を

見透かされぬように


そして出来上がった道化師は

この世界に溶け込むことは決してない

弱さは時として世界を結ぶ鍵となり

強さは時として世界を拒絶する壁となる

鍵を持たない道化師は

今日も星を眺め眠るのでした