2019年2月28日木曜日

コトバ 写真

降り始めの雪

愛は降り始めの雪

掴んだと思っても

手の中には何もない


それくらい不確かなものだから

手に入れたとか

失ったとか

そんなことは

そもそも意味がないのかもしれない


愛は降り始めの雪

掴んだと思っても

手の中には何もない


けれど雪はいつか積もる

そんな日が訪れますように

貴方が愛で溢れますように







2019年2月27日水曜日

コトバ 写真

背景

味気ない人生を

華やかに魅せるために

できるだけ背景を描きこんでいく


オフィーリアが

溺れ死ぬ前に

華やかな世界に囲まれたように


悲しいくらい無能な自分でも

背景が華やかであれば

きっと素敵な人生だったって

笑って死んでいけるのではないだろうか


2019年2月26日火曜日

コトバ 写真

自分

欲しがることをやめた

きっと手に入らないから

悲しくなるだけだから


優しくなることをやめた

きっと裏切られるだけだから

悲しくなるだけだから


素直になることをやめた

きっと騙されるだけだから

悲しくなるだけだから


生まれてきたままの自分をやめた

きっと自分は受け入れられないから

悲しくなるだけだから


自分は自分と言える人たちは

きっと強い人たちなんだと思う

2019年2月25日月曜日

コトバ 写真

ハリネズミ

自己顕示という

鋭い針を他人に向けて

なんとか自己を保っている


自己を保てば

他人の心を針で刺し

結局他人は離れていく


それが彼の性格といってしまえば

それまでなんだけど


きっと刺していることはわかっている

痛みはわからないだろうけど


彼は悲しきハリネズミ





2019年2月24日日曜日

コトバ 写真

賞味期限


目の前に与えられた

賞味期限切れの

ガラスでできた幸せは

すぐに価値のないものになるのだろうけど

大切に大切に

少しでも長く余韻に浸っていたいんだ


論理的に考えれば

今がよければそれでいい

なんて考えはやめた方がいいとは思う

でもね

わかっているけどやめられない

2019年2月23日土曜日

コトバ 写真

追い焚き機能

気持ちが冷めてしまったらしい

追い焚き機能はどこにあるの

2019年2月22日金曜日

コトバ 写真

デジカメ

デジカメは

この世界の一瞬を

簡単に切り取ることができる



何気ない気持ちで

シャッターを押せば

一瞬が永遠に残る


懐かしさを通り越して

生々しさを感じるほどに

残り続ける


この写真に映る自分は

何を考えていたのだろう


一度きりの人生

誰もが口にするような

ありふれた言葉だけど

今やっとその意味がわかる気がする


写真の自分は

果てしなく広がる未来に

多少の無駄や回り道も

別に大したことないと感じている


でも今の自分は違うんだ


未来には期限がある

期限があるから焦りがある

だから一瞬が狂おしいほどに大切なんだ


シャッターを押しても

手に入らないこの一瞬を愛そう

2019年2月21日木曜日

コトバ 写真

チーク

今日はチークが濃すぎた

普段の私と

今日の私を

見比べる人なんて

どこにもいないのだから

別にどうでもいいのだけど

2019年2月20日水曜日

コトバ 写真

裏口

優しさを押し売りするセールスマンが

インターホンの画面越しに確認できたので

裏口から逃げたいと思います

2019年2月19日火曜日

コトバ 写真

眼鏡

眼鏡よ

眼鏡

この世界から

見たくないものを

見せないようにしてください



眼鏡よ

眼鏡

せめて醜いものを

美しいもののように見せてください


眼鏡よ

眼鏡

何もかもをゆがませて

原型もわからないほどに

2019年2月18日月曜日

コトバ 写真

ニュースキャスター

得意気に正義を振りかざし

乏しい想像力で動機を推測し

解決気分に浸って満足する


今日もニュースキャスターは

高貴なフォークを上手に使って

他人の傷口をえぐり尽くし

ごちそうさまと幕を閉じる

2019年2月17日日曜日

コトバ 写真

ひとつ

触れて気付く

皮膚の隔たり


身体が邪魔になる


ひとつになれない

もどかしさ





2019年2月16日土曜日

コトバ 写真

宇宙

宇宙服が邪魔だから

上質な生地のドレスを纏おう


遠い太陽の灯りで

大切な愛読書を読もう


本物の流星群が飾る壁紙に囲まれて

Mr.Childrenの曲を流そう


すべてが終わる前だからこそ

日常を噛み締めよう


2019年2月15日金曜日

コトバ 写真

果実

その果実は

打ちつける冷たい雨に耐えて

太陽をたくさん浴びて

ここまで育ってきた


実りの頃

ついに収穫がはじまる


今か今かと

収穫を待っている者達の中には

不安と焦りを混ぜ合わせた

耐え難い空気が流れはじめる


しかし収穫は一瞬で

悲しいほどに

ほとんどが運任せ

夢見た瞬間とは程遠い


さらに運命はその後も続く

収穫をゴールと思った者達は

その後どう調理されるか

想像すらしていなかった

中には収穫されたにも関わらず

食べられずに棄てられていく


その果実は

打ちつける冷たい雨に耐えて

太陽をたくさん浴びて

ここまで育ってきた


収穫が全てではない

果実は自分を大切にしようと思った








2019年2月14日木曜日

コトバ 写真

涙の跡

いつしか涙は渇いて

傷のような跡を残していた


その跡は

心臓まで達していて

鼓動するたびに

酷く痛んだ


もうすぐ

もうすぐだと思う


そうやって

根拠のない希望を設定し

痛みに耐えてきた


こんな自分を

どうしようもなく思う日も

あるかもしれない


でもね

たぶんこの世界の多くの人は

同じように生きていると思う


涙の跡が乾いた貴方の手を

そっと握りしめる

そしてこう語りかけた

もうすぐ

もうすぐだと思う

2019年2月13日水曜日

コトバ 写真

北極星


寝る時間を惜しんで

懸命に自分の居場所を確保する


他人に尽くすためには

それと天秤にはかれるくらい

自分を維持する必要がある


世界の地軸に対して

垂直に伸びる平均台

ぐらついても落ちないように


神経は摩耗していき

喉は唾が音をたてて胃に落ちる


それでも北極星は消えていない

いつかすべてが終わった日でも

北極星は消えていないだろう

2019年2月12日火曜日

コトバ 写真

要するに

要するに が

口ぐせのあなた

要するに

何が言いたいの

2019年2月11日月曜日

コトバ 写真

遅延

只今脳が遅延しております

復旧まで今しばらくお待ち下さい

2019年2月10日日曜日

コトバ 写真

ルールとループ

ルールを守らないというルール

そのルールを守らなかったら

ルールを守ることになる

というループ

2019年2月9日土曜日

コトバ 写真

ナマ

懐かしいと感じていないならば

その時間は途切れていないということ


ずっと繋がり続けている時間は

生暖かいし湿っている


でもどんどん腐りやすくなっているから

気を付けてね

2019年2月8日金曜日

コトバ 写真

着信

あの頃

着信がある度に

どんな言葉が書かれているか

見ること自体が怖かった


もう怖くない

やっと自由を手に入れた


鳴らない携帯電話

自由は悲しいみたい

2019年2月7日木曜日

コトバ 写真

そろりそろり

君がぐっすり寝ているから

音をたてないように

そろりそろり


今君が幸せを幸せとして

感じることができたのなら

それは守ってくれる人が

周りにいてくれたからこそ


音をたてないように

そろりそろり

2019年2月6日水曜日

コトバ 写真

スマホ

真夜中の話

不必要なまでの明るい液晶が

暗闇に顔を浮かび上がらせている


きっとあなたは今

とてつもなく広い世界と

繋がっているのだろうけど

この暗闇で満たされた空間とは

繋がっていない


だからあなたは

ここにいるけど

ここにいない

2019年2月5日火曜日

コトバ 写真

極限の状態となった


しかし君には

その認識がないらしい


すべてのことに

注文をつけてくる


ひとつ言わせてください


喉が渇いたのなら水を飲め

それが嫌なら何も飲むな

2019年2月4日月曜日

コトバ 写真

鼓膜

見え透いた嘘が

鼓膜を振動し続ける


言い訳という無駄な時間が

もうどのくらい経過しただろう



2019年2月3日日曜日

コトバ 写真

かけることば

もう放っておいて


頑張れとか

元気出してとか


簡単に言葉で表現できるような

軽薄で偽善的な取り繕いはいらないの




2019年2月2日土曜日

コトバ 写真

新月

言うなれば闇

光という光が

すべて消え去っていった


それでも進めというの?

どこに進めというの?


今宵は新月

今は闇でも

時がたてば

日が昇る

ここで待つというのも

立派な選択肢だ

2019年2月1日金曜日

コトバ 写真

家訓

我が家の家訓は

お腹を満たせば大抵のことはできる

だった


悲しみに打ちひしがれたときも

温かい食事を食卓に並べて

皆でお腹いっぱい食べたものだ


さぁ食事にしよう