2005年6月12日日曜日

コトバ

その灰色の影は

口から体内に入って

細胞の中へ吸収されていった

そして死神へと姿をかえる

2005年6月12日日曜日

コトバ

コインゲーム

オモチャのコイン

緑色のコイン

幼き頃から

ずっと握り締めていたその手を

開いてごらん

音もなく落ちていくから

追ってはいけない

この深い谷底を

永遠に彷徨うだけだから

手に入れればいいんです

本当の金貨を

2005年6月12日日曜日

コトバ

長靴

その黄色い長靴は

ごみ捨て場で泣いていた

記憶が残酷に姿をあらわしたのだろう

現実をうけとめることができないのだろう

2005年6月12日日曜日

コトバ

そこにあるもの

彎曲した白いガードレール

それは虹の形と同じだった

排水溝のブロックを

一個とばしで歩いてみる

路上駐車禁止の標識

その上に烏がとまってた

つまりこれが憧憬で

つまりこれが背伸びしていない現実

2005年6月11日土曜日

コトバ

脆さ

伝えたいことはあるけれど

それはそっとしまっておく

ガラス玉なのか

シャボン玉なのかさえ

わからないから

2005年6月10日金曜日

コトバ

二足歩行

もしかしたら

ただ確かめていないだけで

本当はすごい動物なのかもしれない

怒りや悲しみも

時に消化できる

この二足歩行の動物は

2005年6月9日木曜日

コトバ

歯車

どんなに近付いたって

きちっとかみ合う歯車なんてないんだからね

でもこの時計はちゃんと時を刻んでるでしょ

それはね

それぞれの歯車がみんな針を動かそうと思ってるからなんだ

所詮は他人

重なることはない

けど

目的なら共有できるんだ

2005年6月8日水曜日

コトバ 写真

蜃気楼

やさしさの蜃気楼

嘘を信じていたかった

2005年6月7日火曜日

コトバ

工場

窓から見える工場には

昼も夜も人影はない

何も生み出さない

朽ち果てた工場

2005年6月7日火曜日

コトバ

ギター

一本切れたギターの弦

たった一本だけなのに

演奏できないなんて

2005年6月6日月曜日

コトバ 写真

伝える気持ち

伝わらないから伝えないのでなく

伝えたいから伝えない

2005年6月5日日曜日

コトバ

墓前にて

星の浮かばぬ宙を見た

少年によって殺された人達も

予期せぬ事故で亡くなった人達も

臨終を看とられずに逝った老人達も

みんなみんなあの宙へ消えていったのなら

せめて星のひとつも飾ってくれないか

星の浮かばぬ宙を見た

2005年6月5日日曜日

コトバ

深呼吸、そして乗換え

深呼吸をひとつ

そこが今までの終着駅

深呼吸をもうひとつ

そこがこれからの始発駅

2005年6月5日日曜日

コトバ

罪の行く末

赤信号を渡った

危険を犯した

合図を無視してまで

手に入れたものは

いったいなんだったんだろう

2005年6月5日日曜日

コトバ 写真

無駄

無駄なことはないという言葉の無駄

2005年6月5日日曜日

コトバ

こうしてここにいること

取り乱した時に思い出すは

深く刻まれた

昨日までの痛み

2005年6月4日土曜日

コトバ 写真

気に入らない唇

あなたの唇を

ザラザラのペーパータオルで

拭って拭って拭い尽くす

2005年6月4日土曜日

コトバ

ぐるるるる

あの日の質問が

ぐるるるる

答えは出なくて

ぐるるるる

2005年6月4日土曜日

コトバ

主張

戻れないじゃない

戻らないんだ

許せないんじゃない

許さないんだ

2005年6月4日土曜日

コトバ

雑音

どうしても消せない雑音

今はこのチェロの音色聞きたいんだ

なんで邪魔をするんだ