コトバ

ダンボール

ダンボールに詰まっていたのは

野菜ではなく優しさでした

コトバ

赤い屋根の家

欅の並木道を

一本入ったところに

赤い屋根の家があった


庭もきちんと手入れがされていて

この季節には薔薇のにおいが鼻をかすめた


その家は

年老いたおばあちゃんがひとりで住んでいる


おばあちゃんは占いが得意で

小さい頃はよく遊びに行った


いつも笑っていて優しくて

帰りにいつも黄色い包み紙の飴をくれた


今日会社の近くのスーパーで

あの黄色い包み紙の飴を見つけた


あの赤い屋根の家はもう今はない

いつも空車のコインパーキングになっている


だけど駐車場の一角に花壇が設けられていて

数本の薔薇が咲いているんだ


今日久しぶりにこの場所に立ち寄った

かすかな薔薇のにおいの中で

あの飴を舐めて

おばあちゃんにさようならを言った

コトバ

デバッグ

ビル群に射し込む朝日は

息苦しいほどに淀んだ闇を

一瞬のうちにかき消した

それは毎日行われるデバッグ

コトバ

扇風機

片付け忘れた

季節外れの扇風機

あんなに頑張ったのに

今は見向きもされない

コトバ

セルフメディケーション

ここで言えば君が壊れる

ここで言わなければ僕が壊れる

結局最後は自分で調合するしかない

それがセルフメディケーション